ところが時代の転機は突然やってきます。1969年に自動巻き式クロノグラフが誕生するのです。既に当時は手巻き式=時代遅れというイメージがあった上に、セイコーが「Cal.6139」をスイス製クロノグラフの半値で発売。さらにはセイコーの「クオーツ アストロン」によって、機械式時計の市場自体が壊滅的な状態へと陥りました。
1980年代後半に再び機械式時計の人気が盛り上がってきたときには、完全に自動巻き式が主流となっており、手巻き式クロノグラフはほぼ市場から姿を消してしまいます。そして現在では、ノウハウを維持してきた一部の実力派マニュファクチュールのみが、少量製作する程度になってしまうのでした。
それにしても、なぜ手巻き式クロノグラフはここまで希少な存在なのでしょうか?
理由は手間と価格に集約されます。手巻き式クロノグラフは〝手巻き〞であることが大前提であるため、専用設計が必要となり、パーツのすべてを見せるために、仕上げも完璧に行うので、どうしても生産コストがかかるのです。その結果、自動巻き式との価格差は数十倍にもなります。この状況を理解してくれるのは、よほどの好事家だけでしょう。
しかもトゥールビヨンや永久カレンダーの場合は、動きや性能が重視されているので、新しい素材やデザインを取り入れやすく、時代の変化にも対応しやすい傾向にあります。しかし手巻き式クロノグラフは、大きな進化を求められてはいません。
古き良き高級機械式時計の味わいを、残すことを求められる文化遺産のような存在なのです。そんな状況でも作り続けられるのは、これほどまでにムーブメントの美しさを堪能できる時計が存在しないからです。
つまり、美しい機械を操作したいという愛好家の欲望を叶えるのは、〝手巻き式クロノグラフ〞以外にはありえないなのです。
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By: すずみやおりゆき
url: 時計技術の進化が思わぬ逆風になる